侍シフト・フルモデルチェンジ
提供:KEN☆KUN
【神が与えたワン・モア・チャンス】
BUG氏に無理矢理使ってもらっていた【侍シフトノブ】が壊れてしまいました。
普通なら「これも運命」と笑って終わりなのだが、日本が世界に誇るマツダロータリーには侍シフトノブが絶対に必要!
なので、改良版を作ることにしました。
【問題点はどこだ?】
壊れ方から考えられる問題点は
@柄頭の掘り下げが浅い……人間フライス盤の根性が足りなかったか?
A柄紐の革が延びて、巻きがゆるんでいる……本革と加工革では延び方が違うのか?
Bそもそも巻きが雑……返す言葉もございません。分厚い加工革を薄く削っても均一に薄くは出来ず、ねじれない場所ってヤツができました。
Cネジ部分が危険……鉄ナットを使って固定しているが、シフトロッドの先端の数山だけで保持していて怖い&適切な位置で止まらなかった。
【まずはネジの問題から】
市販のシフトノブは樹脂製のアンカーみたいなネジを使っていて、好きな位置までねじ込めばOKなのだが、何とか再現できないだろうか?
プラスチックを溶かして鋳造なんて実験をしてみたが失敗。次の方法を考えながらホームセンターに行くと、化学実験用のスポイトが目に付いた。
コレを切って実験してみよう!
スポイトを適度な長さで切って先端の穴を端材でふさぐ(半田コテとか熱したドライバーとかで溶接)
そして筒の部分を三方向に切ってスプートニク1号(人類初の人工衛星で旧ソビエト連邦製)のような形にする。
スポイトが通るくらいの高ナットを探す(今回はM12の高ナットを11.5ミリのドリルで繰り抜きました)。ナットのように内側にギザギザがあるものじゃないと抜けそうで怖いっす。
こんな感じ
前回のときから預かってるFDのノーマルシフトロッドを固定してみると…
おぉハンドパワー!
ネジ込みが泣くほど硬い!しかし相手は近い将来「握力王」になる男。これくらいの硬さは何ともあるまい。
ともかくヨタハチの時代から長々と問題だった樹脂ネジが作れたので製作に取り掛かれるっす。
【製作開始】
全開はピッタリサイズの農業用のホース繋ぎにエポパテを山盛りに盛って整形したが、今回は少し大きめのホース繋ぎを芸術的なハンマリングで整形してみた。
中間部分が凹むよう5ミリくらい切り出してって溶接してあります。
決して買うときに大きさを間違えたのではない!
次に樹脂ネジのときに用意した高ナットをワッシャーに溶接、そのワッシャーを本体に溶接、ワッシャーの出口を鉄片でふさいで溶接。
前回の反省で先端は行き止まりにしました。
そして
前回より多めの鉛を
流し込め!
『鉛流しは手作りシフトの華』ってヤツだね!
楕円に加工したおかげで完全にフタができていないから鉛の流出が心配だったが、メルトダウンは起こらなかった。
【刀装具の新設計】
前回は真鍮のカタマリから努力と根性の人間フライス盤で削り出したが、今回は本物と同じ銀ロウ付けで組み立てます。
0.5ミリの真鍮板を買ってきました
幅10ミリで必要な長さを巻尺で測って切り出す
曲げやすくするためバーナーで焼いて柔らかくする
フラックスを塗って銀ロウを溶かして固定
銀ロウ付けの細かい作業は専門のサイトを読んでくださいm(_ _)m
今回、シフトパターンはタガネで打刻してみました。作業工程が前後してるのでモザイクしてます。
【段取りの悪さが露呈】
刀装具が完成したので全体の整形。
前回は粘土状のエポキシパテを使ったが、今回は基本的には金属部分で形が出来ているのでセメダインの「ハイクイック」ってエポキシ接着パテを使用。
薄く延ばすことも多少は盛り上げることもでき、硬化後にはヤスリがけもできる逸品なのだが、ホームセンターから駆逐されていた(ハンズにて購入)。
盛り付け前にブレーキクリーナーで脱脂をしておく
鮫革は前回の使った残りで何かに使おうと思っていたのだが、侍シフトに使うことにしました(本末転倒)
白さ際立つホーロー用のエポキシで接着します
前回は「短冊着」という細長く斬った鮫革を両面に貼ったが、今回は「腹合着」というぐるっと巻く技法を再現して裏側には2枚並べて貼りました(写真撮ってませんでした)
何かに使う予定がなくなったので「親粒」も侍シフトに使うことにした。
段差をパテで埋め戻す
ここで段取りの悪さが露呈した!
作っておいた刀装具が鮫革の厚さ分、嵌らない!
正式には鮫革は金具の中には入らないのだが、仕上がり重視なので作り直すことにしました(涙)
【KEN☆KUNは職人レベルが上がった!】
せっかく作ったのだが0.5ミリではバーナーの熱で反ってしまったりタガネで彫り込むと穴が開きそうで本気で打てないなどの欠点もあり素材は1ミリに変更。これがかなり硬い!真鍮とはいえ厚いとそれなりに頑丈なようだ。
写真は0.5ミリのときと同じですが、イメージが伝わればと思いまして…
シフトパターンを打刻します。
失敗作は幅の狭いタガネと重い鉄工ハンマーだけで彫っていたから文字に魂が感じられなかったので、道具も一新してみました。
和室で精神統一して一打ずづ刻む
厚さが1ミリあるとタガネが言うことを聞いてくれる。習字で言う「跳ね・止め・払い」が綺麗に決まりました。
上が新作
【最後の仕事】
柄紐を巻くのたが、前回使った「リアルレザー」ってヤツはどうにも使いにくい(厚さが2ミリもあるので薄く削り込まなくては使えない)。
そこでソファーやバッグを作るときに使う合成皮革を細切りにして使うことにした。
この生地は横に伸びるから縦に細切りにしました
前回同様「諸捻巻」で巻いていく。
今回は両サイドに仮止め用の両面テープを貼ったので巻きやすかった。
巻き終わったら最後の懸案「耐久性向上」のため全体を封入樹脂で固めることにした。
使用するのは釣具屋で見つけた釣竿の仕上げ用のエポキシコート。コレなら握力王になる男が酷使しても耐えるだろう。
自作釣竿では抜群の透明度が高く評価されています
巻き部分を中心に塗り込んだらシフトパターンの部分がムラになってしまったので二度塗りにしてあります。
【ついに完成っす!】
さすがに2回目の製作だけにテキパキできました。
最終的な重量はFD史上最強の570グラム。でも400グラムあたりから重さは関係ないみたいなのが残念!
足に落とすと危険な重量になっております
樹脂ネジもキッチリ利いたみたいなので他の車にも付け換えれる。
ブラックで統一された車内に強烈なアクセントが出現
せっかく作ったんだから6速ミッション車に乗り換えるまで使ってもらえると嬉しい。
【最後に】
まだまだ進化の余地はあるかもしれないが、前回の問題点は全て解決できた。
メーカーの開発期間ってヤツを味わえたと思うと貴重な体験でした。
鮫革だけは天然素材で入荷が安定しないが、量産体制が整ったらシリコンで型取りしてコピー鮫革の製造も考えよう。
このレポートと前回のレポートを読んでマネして作ってくれる暇人が現れることを願いつつ終わりにします。
検索用キーワード:日本刀・シフトノブ・柄巻き・FD・RX-7・侍・自作・製作・制作・シフトパターン
こうしておけば迷い込む人が増えるかも?
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