侍シフト

提供:KEN☆KUN



【世界に誇れ!】

世界に唯一ロータリーエンジンを積んだマツダ車!
「世界でマツダしか作っていない」と言うことは「チョンマゲ」や「ハラキリ」と同じくらいに日本特有の文化と言っても差し支えはあるまい!!
となれば多少なりとも日本びいきなところを見せてもバチは当たらないってもんだ……

ってなワケで以前、BUG氏のFDに日本を代表する文化「日本刀」を彷彿させるシフトノブを作ってみたのたが、実用に耐えうる物にはならなかった(涙)
そこで、その失敗を糧にFDで実用的でかつ日本の和の精神を遵守したシフトノブを作ることにした。
この時点ですでにBUG氏の好みは黙殺されている(笑)


【何が必要だ?】

前回の失敗の最大の原因はシフトノブが伸びすぎてしまったことらしい。
高さを抑えるためにはシフトロッドの根元まで深く嵌め込むように作らなくてはいけない。
実測で30ミリのシフトロッドに合わせるのに何が良いか……?
最初は「塩ビ管を茹でて潰す」ってのを考えていたが、まさにミラクルフィットの素材を地元のフジヤホームセンターで発見した。それは農耕用のホース継ぎ手のタケノコだった。「使えるものは何でも使う」の心意気で採用した。
FDのシフトノブのネジはM10でピッチが1.25ミリの細目ネジ。適合のナットとホースタケノコの「行き止まり」になり&シフトロッドのネジも止まる便利なM8大径ワッシャーと「シフトノブは重ければ重いほどイイ」の理論にもとづいて鉛の重りをゲット!



【まずは構造材を作ろう】

ねじ込みのシフトノブだからネジはキッチリ固定しないといけないので、使用するナットとワッシャーを嫌味なくらいキッチリと溶接で固定

ただし、ナットは鉄(クロメートめっき)でワッシャーはステンレスなので素材が違う&100Vの隅肉溶接だから溶接が美しく決まらなかった


その後、本体となるタケノコにも強力に溶接した
ワッシャーとタケノコは厚さが似ている分、それなりに溶接できたと思う。
溶接したナットに適当な長ボルトをさして中身が流れ出ないように栓をして……

鉛の重りを溶かして

流し込む!!
鉛が固まったところで

栓にした長ボルトを抜き取る。
全周を軟ロウ付けしてあるようなモンなので泣くほど堅いが根性でレンチを回す。
熱膨張の収縮のためか、鉛の部分のネジが渋いので

鉛のネジ部分をドリルでさらう。
あぁ貴重な鉛が数グラム単位で失われていくぅ(涙)


構造材が出来上がったところ。
この時点では354グラム。
そこらで売ってるヘビーウェイトと同じ程度なので更なる精進をしなければ!


【白鞘作り】

中身ができたので刀の柄の形になるまでパテを盛る。

エポキシ金属用パテ&脱脂用のブレーキクリーナー。


それはもう盛大に盛り付けて

削る。
このパテはなかなか優秀で、とても手ヤスリで細工できる代物じゃなかった。
伝家の宝刀「ベルトグラインダー」で美しく整形。


418グラムになっていた。
60グラムのパテを2本近く使ったのに64グラムしか身にならなかったのはクンフーが足りないからなんだろうか?
もっと精進せねば!


【金工だよ!全員集合】

日本刀の金具を「刀装具」と呼ぶが今回は柄だけなので「縁」と「柄頭」だけ作ればイイ。
と言っても、本物のように「銅板に金箔仕上げ」なんて出来ないので「真鍮削り出し」で作るしかない。

縁は真鍮をくり抜けるから比較的簡単。
しかし、柄頭は凹みを作らなくてはいけないので……

人間フライス盤を駆使して根性で削る。
あとは外形を切り出して、グラインダーで削れば形は完成。


柄頭は柄紐を通すから紐穴を明ける。

ドリルとリューターと金ヤスリを使って四角く加工。
これが本当に日本刀だったら蒔絵や彫金をするところなんだけど、コレはあくまでシフトノブなので……

シフトパターンを彫ってみました!これで車検も安心だ!
法規上は「どこの位置にどのギアがあるかが分かる」のが条件であってギアの番号がローマ数字だろうが漢数字だろうが問題はないハズ。車検官が日本人なら文句は言わせない!
金箔を貼る代わりにみんなの味方「ピカール」でぴかぴかに磨く。

#180→#400→#800→#1200→ピカール→錆止めオイルの順で


【格調高い仕上げを目指して】

日本刀の柄は「鮫皮着せ」といって「エイ」の皮を貼って補強&柄紐のゆるみ止めをする。
前回はドッジボールの外皮を貼って作ったのだが……

うーん、安っぽい!
今回はこだわりを見せるためにも本物のエイの皮をゲットして…

切り出す!!
皮だけで3500円もしやがるから切り出すのは正に断腸の思い。
エイの皮の裁断が間違ってるとの指摘があるといけないので業務連絡です。
「親粒」と「九曜」は他の皮細工で使いたいからあげない!
曲面に馴染みやすいように「短冊着せ」で貼り付ける。

固まるまでマスキングで固定しておく。

固まったら皮の厚さ分をグラインダーで削って柄巻きに段差が出来ないようにしていおく。柄巻きは革紐で巻こうと考えた。
で、3mの長さを安易に手に入れられるのは「リアルレザー」と言う革を加工した集積材で、厚さが2ミリもあって柄巻きには使えそうもない。
そこで必要な厚みまで削ることにしたのだが、なかなか上手く削れない。
前回も上手く削れなかったから合皮で巻いてみたが本皮のしっとりとした落ち着きが出せなかった。
その失敗を糧に今回は革紐を両面テープで床に貼り付け金属定規を厚さのゲージに使ってカッターの刃で剃り分ける作戦を考えた。

図にするとこんな感じ。
ぴゃ〜っと綺麗に2枚になる予定だったのだがこの革が硬いかたい(涙)
小学校の図画の版画の彫刻刀の削りカスみたいなのを大量に発生させた上に、まだ厚くて上手く巻けないありさまでした。
結局、ベルトグラインダーで削り込むことにした。
革材は昔のブレーキシューに使われるくらい耐摩耗性が高いから削るのにえらく苦労した。


【最後の大仕事】

日本刀の柄巻きの最後の仕事はやっぱり柄巻きだ。
本物の刀の場合は最後の最後は漆仕上げだがそれはやめておこう。
今回は前回同様、日本刀を美しく見せて耐久性にも優れた【諸捻巻(もろひねりまき)】で巻いてみた。
途中を巻くのはそんなに難しくないのだが最後の【留(とめ)】は何回やっても難しい。
鉄ヘラとピンセットを駆使して何とか留めたが、途中に重ね間違いがあったから一度解いてやり直しになってしまった(涙)

巻きながら一人で撮影はちょっと淋しい(涙)
で、巻き上がり直後の図。

まだ交差が粗いがちゃんと修正します

重量を量ると510cありました。

う〜ん、ヘビーウェイト!

前回のモノと比べるとかなり太く短くなってしまったがFDに最も短くフィットする設計だから仕方ない。


【納品したあとに】

我ながらイイ仕事でした。
作り終わってみると「もう少しあぁだったなぁ」とか「ここはこうした方がよかったかな?」とか思うところもあったけど、メーカーが出す「開発費」ってのは、試作を作ってあぁしようこうしようって作り直す費用なんだなぁって思うと個人では「次はもっとガンバりましょう」になってしまうのが残念。

で、今回の反省点は
『FDに取り付けたときに適度な位置で止まらなかったこと!』
に端を発する「ナットの行き止まりはちゃんと塞ごう」って点。
大径ワッシャーでフタをしたから真ん中に穴が明いていてネジの位置あわせに「中に小片を入れる」作戦が使えずに苦労した。
市販のシフトノブのポリナットが手に入れば全ての問題が片付くのだが難しい。
最初からKEN☆KUNの趣味を全面に出した作品だったが各所でウケは良いようでメーカーが参入してきそうな予感?
この記事を読んで自作してみようって思う勇者が現れることを願いつつ記事を終わりたいと思います。




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