柴自動車


今回のお店は、知る人ぞ知る「柴自動車」だ。



「ヨタハチの神様」や「ヨタハチを直す為に生まれてきた」と豪語する職人による超一流の(常軌を逸した)レストア技術で全国にその名を轟かせている(もちろんヨタ以外のレストアも含めて)。
その技術力は同業者にも「うちにはここまで出来ない」と言わしめ、中部圏に存在する状態のよいヨタハチは、ほとんどここが絡んでいると言われている。
大雑把にその仕事を紹介すると、

このヨタは結構程度は良さそうだが、それでも普通のレベルで見れば単なるドンガラ。

そいつがこうなる。まさに新車以上。
ちなみに私が見る限り、博物館に置いてある物よりも程度がよく、しかも実働。

そのエンジンルーム。
美しすぎる。どこを見ても新品。ヒーターすら新品同様になっている。
これで後は配線の引き直し等ちょこっと修正して完成らしい。
まさに超一流の職人が趣味で作ってる感じ。
社長さんは「全然採算合わないよ」と言っているが、これを見たら「そら採算合わんわ」と納得してしまう。というか常軌を逸している。

ここの楽しいところは店に並んでる車が、アンバランスで変なことだ。

例えば、一番上の写真にも乗っているが、ごく普通の中古車のようにワゴンRなんかが売ってる中にヨタが混ざってたり

セレナやエコエコアルト誕生なんてのぼりの前にパブリカやTE27トレノが並んでる。
うーん、たまらない。


事務所に入ると、こじんまりとしたショーケースが置いてあって、中にはこんな商品が並んでいる。
柴自動車はいろんな所からヨタの新品や中古部品をかき集めて、各車に合わせて作り直してレストアに使用している。しかし中にはどうしても見つからない物も存在する。そういう部品を柴自動車では自社生産しているのだ。
このショーケースに並んでいる商品はこうした自社生産品した主に小物類で、ヨタのエンブレムやバンパーがその場で買えるのだ。
こんなところでもその圧倒的な技術力を見せ付けられる。


本社横の工場。ここは主に整備工場だが、よく見ると天井にヨタのドアがぶら下がってたり壁にタンクが積み上げられてたりする。真ん中の車(縦目のグロリア?)と軽トラの間に置いてある物体はおそらく新品状態に仕上げられたヨタのエンジンだ。
ここにいるだけで、ヨタ好きは真摯な気持ちになる。

さて次はレストア工場だ。
レストア工場は本社とは少し離れたところにあって、車で10分ほどで行ける。
工場に着いたとき、面白い車が置いてあったんで、思わずシャッターを切る。

素敵に錆びてきたパブリカだが、バンパーの曲がり方とフロントガラスが何か芸術性すら感じさせる。

レストア工場は基本的に本当に修理工場なので、綺麗なコンディションの車は置いてない。
しかし、修理を待つ車の中には「早く直してくれ〜」と言いたくなる車がゴロゴロしてるので、そういう意味ではある意味綺麗どころを見るよりも楽しい。

ヨタの数の多いこと多いこと。1箇所にこれだけの数のヨタが集まっている所は、世界中探してもここしかないんじゃなかろうか?
そういやこんな車もあった。

おそらく1930年代のシボレーだと思われる。こいつをピカピカにして街を走ったらそれこそ人だかりができそう。というか乗ってみたい。
その手前にある茶色というか腐ったオレンジ色みたいな車は伝説のロータリースポーツ、コスモ・スポーツだ。
こいつは是非ともレストアしてもらいたいが、こいつは「書類なし」という究極の欠陥がある。書類無いとキビシイなぁ。うーん、残念。

そういやここにKEN☆KUNのヨタも入院してた。

かなりのフェンダーのへこみ、ボンネットのゆがみ、絶望的なほどの錆と左官屋さんが仕事したかのようなパテの芸術品がそこに置いてあった。
このヨタが修復されるのはいつの日のことだろう?他にもレストアを待つ車が何十台とある…。


修理中の車達。そのほとんどがヨタだ。
ここでは柴自動車の真骨頂とも言える板金技術が見れる。
例えば、

赤枠で囲ったところが溶接でつなぎ合わせたところだ。
この部分は、赤枠部より下が錆びて腐っていた為、その部分を切り取って新しく鉄板を切り出して溶接してつなぎ合わせたところだ。
目を凝らして見ると、うっすらと溶接痕が見えるが、鉄板剥き出しの状態でこれだから凄まじい。
普通の板金工場だと、腐った部分を切りとって鉄板を重ねてパテごってりか、ひどい場合は上から鉄板を張るだけっていうのもある。しかも一般的には板金作業はそういうものだと思われているのだ。
しかし柴自動車は違う。その執念にも似た仕事ぶりは、まさに自分達の仕事に絶対の自信を持つ職人達の心意気が見え隠れする。

ヨタに興味を持つ人は一度顔を出してみよう。そこには他店では望むべくも無い新車以上のヨタハチがあなたの来店を待っている。
社長さんの熱いヨタの話も聞けるしね。

番外編1

柴自動車の本社横に面白い車が置いてあった。

画像が潰れて見にくいが、φ100はありそうな極太マフラーと燃調が合ってないのか
、回りについたすすが異様な迫力を醸し出している。
テールランプ上の車名を見ると「COROLLA」…、カローラ!?
だってトランクにGTウイング付いてた痕があるよ!?

前から見ると足回りが変更されてるがやっぱりカローラだ。ヘタにエアロで武装してないところがシブイ(ただ単に売ってないだけかも知れないが)。

ガラスで見にくいが、車内も当然手加減無し。これだけ見るととてもカローラとは思えん。
オーナーが見当たらなかったので、エンジンルームまでは見ることができなかったが、きっと想像を絶するすごいことになっているのだろう。
うーむ、素晴らしい。漢の臭いがプンプンする。いろんなパーツをただ付けて走り屋気取ってる小僧どもに見習ってもらいたいね。

番外編2

レストア工場にこんなのがあった。

レストア中の車を自由に移動させられるようにこのタイヤをつけたらしい。
これでエンジン積んで走らんかな?




徒然なるままにヨタ8
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