配線引き直し 序章


30年の月日は残酷だ。人間でもそうだが、機械ともなると尚更だ。
車の場合だとまずボディ剛性の低下(というかすでにサビで穴が開いてる)、機関部の磨耗、ゴム類の劣化、樹脂類の風化、消耗部品の供給等、項目を挙げればきりが無いが、以外にみんな電装系、特に配線そのものの劣化には無頓着な場合が多い。単に見ないようにしているだけかも知れないが。
確かにエンジンやミッションのオーバーホールやカスタム、ボディ剛性のアップ等はすぐに効果が出るし、実際その効果も絶大だ。
それに比べて電装系のリフレッシュはどうしても地味で目立たない印象が強い。
しかし今回は敢えてその地味な作業を、しかも最終的にはヨタの配線すべてをやり直したいと思う。
というより俺が我慢できない。なんなんだ!この配線は!
歴代のオーナー達が後付けメーターかなんかのためにいろんな所から線を引っ張っては外して、を繰り返したらしく、とんでもねーことになってる。
というかそもそもヒューズが三つしかない車ってどうよ!?一つヒューズが切れたら、一体どれくらい障害が出るか想像もできん。
まぁ今回はかなりの長期戦が予想されるので、最初の作業のみ紹介。

ふぅ、もっともらしい文章を考えるのは疲れる…(本当は単に配線してみたかっただけ)。

さて、さっそく作業開始。

手始めに線全体を保護しているビニールテープを剥がす。
しかし正直このビニールテープはなんとかならんのか。メーカーとしては手軽に保護できるから、と安易に巻いてるんだろうけど、後から直すときに非常に邪魔だ。
ま、今は(特にディーラー)「おかしい所はとりあえず交換」だから、直しやすいとか直しにくいとかは関係ないんだろうけど。ってこの車は30年前のだった。
こんな所で愚痴ってもしょうがないので、さっさと作業を進める。
熱と経年劣化により硬化したビニールテープが、メキメキいいながら剥れる。いつもはベタベタしてうっとうしいテープだが、ここまで劣化するとあまりベタベタしないらしい。

作業中、不自然につながった線(あきらかに手でよじってテープ巻いただけ、みたいな)や途中で切れてる線が何本か出てくるが、気にせず先に進む(しかない)。

テープ剥がしっぱなしで線バラバラってのも気分的にイヤなんで、コイルチューブの切れ端でまとめておく。最終的には、すべてこれでまとめる予定。
しかしすごいコンディションだ。よくこれで電気が流れてるなぁ、と妙なことに感心する。

どういう話の流れかわからないが、豪快に内張りを剥がす。干草のようなもの(防音材)をバリバリとむしっていくと、段々鉄板が剥き出しになってくる。
もしかして、とんでもないことになってきた?
しかし内張りに使われていた布(というか皮)を邪魔という理由でハサミでジョキジョキ切った後では、何もかもが遅かった。
これで我がヨタは、今まで以上車内に轟音を響かせることだろう。
あれ以上音が大きくなっても大して変わらん気もするがな。

車内の線の様子(ほんの一部)。今回の作業はここがあまりにも酷い状態だったから決意した、ある意味メインとも言える場所。
しかし、車中の配線が集まる場所だけあって、とんでもねーことになってる。俺は本当にこれを直すのか?見るたびに絶望的な気分になってくる。

ヨタは戦闘機をイメージしてデザインされたという話は有名だが、それのせいかウインカーを外すときに「TAKE OFF」なんて言葉が頭をよぎる辺り、まだまだ若いって証拠ですか?(ガキ以下)

ハンドル回りの配線し直し。とりあえず、すぐ出来るものから手を付けるあたり、かなり弱虫。
「もしかして、こういうグリスか?」と思うほどに線が緑青吹きまくってる。
とにかくハンダこてを駆使して(って大げさなことでもないが)サクサクと新しい線に交換。
この時、以前出たウインカーの右側を出すとホーンも一緒に鳴ってしまう原因が判明。どうやらホーンの線の皮膜が長年の使用により破れていて、それがウインカーのスイッチ部に接触していた模様。しかしハンダ付けされた角度から見て「こんなふうに付いてたら、そら当たるわ」って感じだったんで、その辺りも修正。

サクっと完成。というか地味な作業のため、途中は割愛。実は用意したコネクターの形が微妙に違っていた&次にやるウインカー用の線が用意したものより太かったため、大須まで買出しに行ったことは内緒。
あと、本来車の配線にはカラーコードという統一規格があり、簡単に例を上げると
黒(B):アース 赤(R):照明 白(W):充電 緑(G):信号 青(L):その他 黄(Y):計器
となっているが、まったく無視して配線(ただ単に知らなかっただけ)。おかげでやたらカラフルな配線になってる。
ま、俺がわかりゃいいんだよ(言い訳)。
配線ついでに各部のクリーンナップ。稼動部のグリスアップや接点を磨いたことにより、ウインカーレバーが気持ち良く動くようになった。
今までウインカー出しても自動で戻らなかったのが戻ってくるようになったのは嬉しいのだが、それまで無意識でレバーを戻していたため思わず指が泳いでしまう。

続いて(と言ってもボーリング9ゲーム→ガスト→翌日リトルワールド→ゲーセン→ボーリングその他諸々のコンボにより、夜1:40頃作業再開だったが)、やっぱり簡単なウインカー。
分解したらどうやって入ったのか、中にクモの巣があった。生命の神秘だ。

電球の接点もハンダを盛って作りなおす。線も元の線よりちょっと太いものを使用。新しくしただけでだいぶ違うとは思うが一応、ね。

とりあえず完成(当然左右両方)。ここでも当然のようにカラーコードを無視。
後から判明したのだが、ここでは線の先にギボシを使っているが、本当は2線のコネクターだったようだ。ま、ちゃんとしてればそれでいい俺には全然関係ない話だが(じゃあ言うなって?書くことが無いんです/泣)。

次は、またも簡単なホーン。サビてボロボロ。うちのヨタには一つしかないが、本来は2つあってカタツムリ型のカバーが付いていたようだ。
こいつは特にやることがないので、端子部分だけ磨いてやる。

線を新しくして終り。色がシルバーなのは、どうやら今の色にオールペンされる際、ホーンや一部の配線を付けたまま色を塗ったようで、ボディを同じ色になってる。
って、生きてるのか?このホーンは。買った当時にテストした以外に鳴らしたこと無いからなぁ。

冒頭にも書いたが、配線作業はすべての線のリフレッシュ、コネクタ・端子類の交換やヒューズの増設、アーシング等、かなりの作業量であり長期戦が予想される(というか決定)。
特に配線の簡略化やヒューズの設置等、電気が専門ではない俺には頭が痛い問題なので、暇な人などんどん手伝って欲しいな、なんて(ちょっとかわいく)。
ま、毎日の足として一応走ってるんで、状態はそれほど深刻ではない(と思いたい)。
暇つぶしくらいの感覚で、気長にやってこうかな。


おまけ


防音材を剥がしてるときに助手席足元がサビサビなのを発見(ちょうど真ん中くらいの赤茶色っぽい部分)。
サビてヒビが入り、そこから微かに外の光が入り込む。この瞬間フロアパネルの制作&溶接決定。しばらく手付ける気ないけど。
覗きこんでも女の子の入浴シーンが見れるわけはなく、エンジンルーム(及び地面)が見えるだけ。


そして、ちょっとサビてる部分に防錆材「POR-15」を塗ろうと思ったが、まず蓋が開かない。
これが開かなければ俺は死んでしまう、くらいの勢いで力を込め「メキッ」という音と共にようやく取れる。
しかし蓋を開ける段階でこんな状態ということは、当然中身もそんな状態なわけで。
これを見てフと思い出す。確かPORのマニュアルには「乾燥後には岩のように硬く無気孔の塗膜が形成され、欠けない、割れない、剥れないという対錆びペイントとして世界一の性能を有することにより…」とか書いてある。
ほう、世界一とな。これは試すしか。
というわけでハンマーさんにご登場を願った。
そしておもむろに振り下ろす。
「ゴッ」
…割れねぇ。そのあとムキになってガシガシ叩いて、いい加減疲れてきた頃にようやく欠けた。
しかしそれは、どうやら中に空気が入ったまま固まったらしく、欠けたところだけ薄くなっていた。もし空気が入ってなければ、恐らく欠けかったのでは?
うむ、POR恐るべし。




徒然なるままにヨタ8
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